医療レベルには地域格差が大きい

ベトナムの病院

ベトナムの医療環境や医療レベルは、地域によって格差が拡大しており、例えばハノイやホーチミンなどの大都市では近代的な医療設備を備えた私立病院やクリニックが増え、近年は日系クリニックや日本人スタッフが勤務している医療機関も多いので、安心して受診することができます。一方、大きな都市以外では医療水準が高いとは言えず、ベトナム全体を見ると、周辺国のタイや中国より劣っています。そのため、居住先を選ぶ際は近隣の医療機関についても調べておくと良いでしょう。

ベトナムの医療機関は公立と私立に分かれており、公立は医療スタッフや医療機器が慢性的に不足し、その傾向は地方に行くほど顕著になります。また、いつも混雑しているので、診察までに時間が掛かってしまいます。基本的にベトナム語しか通じないため、日本人が公立の病院に行くことはほとんどありません(交通事故などの緊急搬送時を除く)。

私立病院は、日系やフランス系など外資系病院も多く、日本人医師による診察あるいは日本語通訳によるサービスなどが設けてられているので、医療レベルだけではなく言葉の面でも問題ありません。しかし、診断が難しい複雑な病気や高度な手術が必要だと判断された場合は、日本や周辺国に緊急移送されることもあります。健康に不安がない方でも、ベトナムは交通事故が多い国なので、あらかじめ高額の医療費に対応できる保険に加入しておくと良いでしょう。

蚊を媒体する感染症に要注意

蚊

蚊を媒介した感染症はベトナムだけではなく、アジアや南米など年間を通して高温多湿な地域では一年中、感染のリスクを伴います。たとえばデング熱は、ネッタイシマカやヒトスジシマカといった蚊を介して感染するウイルス感染症で、2013年には日本でも249名の患者が確認され大きな注目を集めましたが、2016年(9月時点)にベトナムの保健省が行った報告では、国内46都市で65,399人が罹患し、そのうち20名が亡くなったそうです。

デング熱が流行しやすい時期としては、蚊が発生しやすい雨季と言われていますが、年間を通して患者は発生しており、さらに予防薬や特効薬がないので、虫除けスプレーなどを利用して日頃から対策を講じることが重要です。

同じくジカ熱やマラリア、日本脳炎も蚊を媒介して感染しますが、デング熱よりは感染数が少なく、症状が出ない人もいますが、日本脳炎は発病した場合の死亡率が約30%、後遺症が残る可能性も50%以上と非常に高いので、可能であれば渡航前に予防接種を受けておきましょう。

ベトナムの水道水は?

ベトナムの水道水は水質が良いとは言えないため、飲用はできません。工場などからの排水は有害物質を含んでいても処理されないまま、河川に垂れ流されていることが多く、農業用水や地下水の有害化学物質含有量は基準値の約30倍とも言われています。水質汚染が深刻なので、浄水器やミネラルウォーターを利用しましょう。

また、食品衛生の面でも不安があります。高温多湿である気候は食中毒のリスクを高め、さらに流通経路も含めて生鮮食品の扱いが徹底されているとは言い難いので、都市部のレストラン以外では加熱処理が行われたものを食べる、スーパーで購入した食材は丁寧に洗うなど、日頃から衛生面に関して心がけておく必要があります。

なお、ベトナムはA型肝炎の感染リスクが高い国と言われており、ウイルスに汚染された水や魚介類、野菜などを摂取することで感染してしまうため、渡航前の予防接種が推奨されています。

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