都市によって異なる治安

中国の風景

ニュース等のメディアで反日感情による衝撃的な映像を見たことのある方にとって、中国は危険なイメージを抱く国かもしれません。しかし、それは一部の地域で一部の時期に起きたこと。基本的には日常生活を送るうえで反日感情を過剰に気にする必要はなく、感情そのものも人によるところが大きいと言えます。しかし、以前として抗日ドラマや映画は多く、抗日戦勝記念日(8月)や国慶節(10月)など、市民の愛国心が高まる時期には注意をした方が良いでしょう。

日頃の治安に関しては、地域によって大きな差があります。たとえば日本人が多い上海は比較的治安が良く、中国国内でも安全度が高い都市と言えます。上海は経済の中心地でもあるため、経済発展には治安の安定が欠かせないと判断し、都市を挙げて秩序の維持に全力で取り組んでおり、その努力が結果として結び付いています。そんな上海でも気を付けたいのが、スリや置き引きなどの軽犯罪。特に満員のバスや地下鉄内など警察の目が届かない場所では自分自身で身を守る意識を持ちましょう。

また、観光都市でもある上海では、ぼったくりの被害も頻繁に報告されています。「日本語を教えて欲しい」「写真を撮って下さい」など当たり障りのない内容で話しかけ、言葉巧みにレストランや中国茶館へ誘い、法外な料金を請求されることがあります。ただの旅行者や親日的な人もいるので判断は難しい事案ですが、このような事例があることを知っておくだけでも防犯に繋がるので、様々な情報を積極的に取得し、防犯意識を高めましょう。

中国国内の犯罪に関するデータ

まずは、グラフをご覧下さい。国連の統計局による中国国内の犯罪データです。イメージを掴みやすくするために日本のデータも併記します。

殺人件数 暴行件数 誘拐件数 窃盗件数 強盗件数 性的暴行件数
中国 2012 0.8 NR NR  NR NR NR
日本 2014 0.3 21.0 0.2 356.2 2.4 6.8

※単位は10万人あたりの人数
データ参照元:国際連合世界統計年鑑 NR=報告・データなし

上海の東昌路駅周辺はスリに注意

国連の統計局のデータでは殺人件数以外のデータはありませんが、在住者や旅行者の間で最も多いと言われている軽犯罪がスリです。観光で訪れる方だけではなく在住者も多い上海は、中国国内で最も安全な都市と言われていますが、それでも東昌路駅周辺はスリや強盗が多いエリアとして、地元の上海人でさえ気を付けています。単独犯や複数人で構成されるスリ集団だけではなく、幼い子供を利用した犯行も多いので注意が必要です。

また、同じく上海の中でスリが多いと言われているのが上海駅周辺。長距離寝台列車の発着駅となっており、中国国内の各都市と結ばれているため、出稼ぎ労働者など貧しい層も多く、スリだけではなく物乞いを見かけることもあります。特に上海駅の北口は工事現場が多いため、日中でも雰囲気が暗く、なるべく避けたいエリアです。

北京はバスターミナルや駅付近に注意

中国の風景

中国一の監視カメラ数を誇る北京。治安は比較的安定していますが、上海と同様にエリアによって注意した方が良い場所もあります。そもそも北京は地方からの流動人口が多く、住人の半数以上が余所の場所から来た人たちと言われています。それに加えて収入格差など貧富の差が顕著で、スリなどによる軽犯罪の引き金にもなっています。

スリ以外に気を付けたい点はタクシーなどのぼったくり。空港周辺は取り締まりが進んでいますが、まだまだ駅周辺やバスターミナル周辺には白タクが多く、日本人だと分かると吹っかけることも珍しくありません。基本的に運転手が「たむろ」しているタクシーは避け、流しのタクシーを利用した方が良いでしょう。また、北京の人々に危ないエリアを聞くと、多くの人が「大興」(北京最南端に位置するエリア)と答えるように、一般的には北京北部の方が北京南部よりも安全だと言われています。

その他、治安が良いとされている都市は蘇州、杭州、青島、新余、桂林、梅州などで、逆に治安があまり良くないとされている都市に、東莞市、広州、深圳(深セン)などが挙げられます。しかし、ここ数年はこれらの都市の治安も改善傾向にあり、夜間の一人歩きやスリなどに気を付けていれば、他の都市とそこまで大きく変わらず在留日本人も増えています。

中国で事件に巻き込まれたら

中国に限らず、どこの国でも身の安全を第一に考えて行動することが鉄則です。例えば、ひったくりに遭った場合、奪われた金品を奪い返そうとするのではなく、自分の命を最優先に考え、安全な場所へ身を移すようにしましょう。奪われた物が返って来ることはありませんが、海外旅行保険などに加入していると、後に保険金を請求できることもあります。請求の際、多くの保険会社では現地の警察によって作成された証明書が必要になります。どのような書類が必要で、どのタイミングで申請を行うのか?保険に加入する時は細かいことまでチェックをしておきましょう。

中国国内での主な緊急連絡先一覧

中国国内での主な緊急連絡先を記載します。都市によって電話番号や連絡先の大使館・領事館が異なる場合があるので、住むエリアが決まったら必ず緊急連絡先を確認し、何かあった際に直ちに連絡できるよう、メモなどを残しておきましょう。

◆警察 110
◆救急車 120
◆消防 119
◆在中国日本国大使館 010-8531-9800
◆在中国日本国大使館領事部 邦人救護 010-6532-5964
◆在上海日本国総領事館 021-5257-4766
◆在広州日本国総領事館 020−8334-3009
◆在瀋陽日本国総領事館 024-2322-7490
◆在重慶日本国総領事館 023-6373-3585
◆在大連領事事務所 0411-8370-4077
◆在青島日本国総領事館 0532-8090-0001
◆在香港日本国総領事館 852-2522-1184

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