日本人の窃盗の犯罪被害は1日に1件以上!

フランスのパトカー

世界屈指の観光立国であり、イメージ的にも優雅な雰囲気の漂っていそうなフランスですが、実は窃盗などの軽犯罪が非常に多く発生しています。在フランス日本国大使館が認知しているだけでも、1年間で日本人が強盗・窃盗の被害に遭っている件数は1日1件以上の約500件。その多くは、パリで起きており、なかでも公共交通機関(特にメトロの車内や構内)、美術館などの観光地、シャンゼリゼ通りやオペラ通りなど有名観光地近くの路上、空港、歓楽街などで多発しています。

日本人が被害に遭った犯罪を発生件数順に並べると、スリ、置き引き、ひったくりの順で、オートバイによるひったくりに遭遇し、引きずられてケガを負ったケースもあります。街を歩く時はバッグを車道側に持たないように心がけるだけではなく、ショルダーバッグなど肌身から簡単に離れないものを着用し、なおかつバッグ部分が身体の前に来るように掛け、手を添えて持つなどターゲットにされないような工夫をしましょう。

また、フランスでは原則として身分証明書の携行が義務付けられています。警察などから身分証明証の提示を求められた場合、携帯していないがために身分を証明できないと警察署への同行を求められ、最長24時間留置される恐れがあります(身分証明書の提示を拒否すると逮捕されることもあります)。しかし、スリや置き引きが多いフランスで常にパスポートなどを持ち歩くのは、盗難のリスクが高まるので、パスポートなどはコピーを持ち歩き、まだ居住先が決まっていない段階なら、宿泊しているホテルのカード等も一緒に携行するようにしましょう。

フランス国内の犯罪に関するデータ

まずは、グラフをご覧下さい。国連の統計局によるフランス国内の犯罪データです。イメージを掴みやすくするために日本のデータも併記します。

殺人件数 暴行件数 誘拐件数 窃盗件数 強盗件数 性的暴行件数
フランス 2014 1.2 354.5 4.6 1970.4 177.9 48.3
日本 2014 0.3 21.0 0.2 356.2 2.4 6.8

※単位は10万人あたりの人数
データ参照元:国際連合世界統計年鑑 NR=報告・データなし

様々な手口を使う窃盗グループ

フランスでは殺人事件などの重大事件はあまり多く発生していませんが、スリなどの軽犯罪は多発しており、窃盗に関しては日本の約5.5倍、強盗に関しては日本の約74倍も起きています。なかでも窃盗の被害件数は人口10万人あたり1,970人以上に及ぶので、100人につき約2人が窃盗の被害に遭っていることになります。確率だけで言うと混雑しているメトロの一車両に100人以上が乗車していた場合、その中の2人はスリに遭っている計算です。

スリは単独犯だけではなく、集団で行動していることもあり、声を掛ける、取り囲む、立ちふさがる、物を落とすなど、相手の注意を逸らす行為をして、その隙に犯行におよびます。また、手口も様々でメトロ内もしくはメトロ構内で多いケースは、混雑している車内で若い女性が取り囲むように立ち、身動きが取れない状態にして、バッグの中から財布などの貴重品を盗む手口(犯行後、スリ集団は次の駅で降車し逃走)や、ホームで「背中が汚れている」と促され、上着を脱いで汚れを拭いている隙に足下に置いたバッグを盗む手口、わざとコインを落として拾ってあげている間に貴重品を盗む手口などがあります。また、路上には子供のスリ集団も多いので要注意!です。

この他にも親切を装ったATMでのクレジットカード窃盗も報告されており、あらかじめATMにカードが取り出せなくなるような仕掛けを施し、困っていると親切を装って近付き「もう一度、暗証番号を入力してみた方が良い」などとアドバイスをして、再入力後にカードが出て来ないと「ここは見ていてあげるから係員に言って来た方が良い」と、その場から離れるように仕向け、係員を呼びに行っている間に仕掛けを外し、再入力の際に盗み見た暗証番号で現金を引き出します。ATMで現金を引き出す時は、周囲の状況を観察し、可能な限り銀行が開いている時間などに利用しましょう。また、暗証番号を入力する際は手で覆うなど他人に見られない工夫が必要です。

さらに、一瞬の隙を狙って飲み物や食べ物に睡眠薬を入れ、意識を朦朧とさせて荷物を奪う睡眠薬強盗や、私服警察官を装って偽の身分証を提示し、パスポート(身分証明証)や財布の提示を求め、現金を奪う詐欺なども発生しています。睡眠薬はアイスクリームなどに混入されることもあるので、知らない人から貰ったものを安易に口にしないよう警戒し、また実際の私服警察官は身分証の提示を求めることはあっても、財布の提示は求めません。同様に空港内で税関職員を装うケースも報告されているので気を付けましょう。

このような窃盗、強盗事件はパリだけではなく、マルセイユやニースなどでも多発しています。なお、メッス市のボルニー地区および近郊のベルコア地区、ラ・パトロット・シュマン・ドゥ・ラ・モゼール地区は、低所得者層が多く居住しており、暴力事件や麻薬関連事件が絶えないため、治安上の問題があるエリアとして、在フランス日本国大使館では不要な訪問を推奨していません。

空港から尾行されるケースも!

近年、報告されている犯罪の一つがシャルル・ド・ゴール空港からパリ市内へ向かう高速道路上での強盗事件です。

タクシーなどに乗車中、渋滞で停止(または減速)した際に、窓ガラスを割ってバッグを強奪する手荒な犯行で、被害者の多くが空港から市内へ向かう女性であることから、犯人は空港で狙いを定めて尾行している可能性があると言われています。

窓ガラスを割る乱暴な犯行手口なので、下手な抵抗は命取りになりかねません。防犯対策として、まずターゲットにされないようにブランド品などを目立たないようにすること(裕福だと思われないこと)が最も重要で、バッグなどの手荷物はトランクに入れるか、外から見えにくい足下に置き、渋滞などでタクシーが停止あるいは減速した際には、後方や周囲などに注意をしましょう。

フランスで事件に巻き込まれたら

フランスの風景

フランスに限らず、どこの国でも身の安全を第一に考えて行動することが鉄則です。例えば、ひったくりに遭った場合、奪われた金品を奪い返そうとするのではなく、自分の命を最優先に考え、安全な場所へ身を移すようにしましょう。奪われた物が返って来ることはありませんが、海外旅行保険などに加入していると、後に保険金を請求できることもあります。請求の際、多くの保険会社では現地の警察によって作成された証明書が必要になります。どのような書類が必要で、どのタイミングで申請を行うのか?保険に加入する時は細かいことまでチェックをしておきましょう。

フランス国内での主な緊急連絡先一覧

フランス国内での主な緊急連絡先を記載します。都市によって電話番号や連絡先の大使館・領事館が異なる場合があるので、住むエリアが決まったら必ず緊急連絡先を確認し、何かあった際に直ちに連絡できるよう、メモなどを残しておきましょう。

◆警察 17
◆救急車 15
◆消防 18
◆在フランス日本国大使館 01-48-88-62-00
◆在ストラスブール日本国総領事館  03-88-52-85-00
◆在マルセイユ日本国総領事館 04-91-16-81-81
◆在リヨン領事事務所 04-37-47-55-00

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