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日本文化がもたらした影響
約50年間、日本による台湾統治時代が続き、その過程で台湾には日本の文化が流入しました。また、統治によって、台湾の公共インフラや教育水準が飛躍的に向上したと年配者から若い世代にも言い継がれており、経済発展の歴史も相まって、現在では世界屈指の親日国として知られています。
2011年に発生した東日本大震災の時は、政府からの義援金や救援物資の他に、民間のチャリティー番組で国民に義援金を募った結果、200億円以上が集まり、これは世界各国の中でも最高金額でした。また、当時の総統は日本語で「日本の皆様の不安や焦り、悲しみなどを思い、私は刃物で切り裂かれるような心の痛みを感じている」「自然の猛威を前に決して運命だとあきらめず、元気と自信、勇気を奮い起こしてほしい」と励ましのメッセージを送り、台湾の街中でも、多くの店舗が日本語で「日本ガンバレ」などと書いた貼り紙やボートを掲げるなど、物資面でも気持ちの面でも、熱心な支援を続けてくれました。
統治時代に普及した日本語(32ヵ所もある日本国内と同じ名前の駅や日本語の発音を音訳した単語など)や神社の建立など日本文化は台湾の一般家庭に定着し、現在では若者を中心に「文青(文芸青年の略で日本文化に傾倒する若者を指す言葉)」の文化が広がっています。
融合している多民族文化
約98.5%が日本民族の単一民族で成り立つ日本では、なかなかイメージの湧かない多民族文化。台湾は、本省人、外省人、客家人と呼ばれる捉え方があり、あまり知られていないものの、厳密に言うと多民族で構成されている国です。
台湾で呼ばれている本省人とは、中華民国へ帰属する以前から台湾に住んでいる漢民族と客家(漢民族のなかでも中原発祥の文化を守り続けている民族)、高砂族やタイヤル族など台湾の原住民との混血の子孫を指します。また、太平洋戦争が終わった後に大陸から台湾に移り住んだ人たちは外省人と呼ばれていますが、本省人も外省人も、ほぼ同じ中華民族です。
このように台湾には、中国の中国福建省や広東省を中心に多くの移民が移り住み、漢文化の影響を強く受けています。その影響で、祭事に関しては中国の南部エリアと類似しており、春節(台湾では主に過年と呼ばれる)、端午説、中秋節は台湾の三大節慶と称され、それ以外にも中元節や元宵節など、漢人の伝統的な節日は祝われています。しかし、また、それらとは別に台湾独自の祭事として迎媽祖、塩水蜂炮、東港焼王船、頭城搶孤などが存在しており、祭事が非常に多い国となっています。
バラエティーに富む台湾の食文化
美味しい料理を食べることに貪欲な台湾では「食べることの地位は皇帝のように高い」という言葉があります。何よりも食を楽しみ、その時間を重視する台湾の食文化はバラエティー豊かでリーズナブル。街には屋台が多く、独特の伝統的なスイーツも人気を博しています。
日本食レストランの数は6,500軒以上で、台北や台中だけではなく、数多くの都市にあり、台湾人からも大人気!なかでも、日本のラーメン、寿司、うどんは幅広く浸透しており、日本企業も続々と出店しています。しかし、せっかく台湾で暮らすなら、現地の食文化を堪能してみたいもの。多彩で日本人にも人気の高い台湾の料理には、どのようなものがあるのでしょうか?
台南が発祥の「担仔麺」
台湾を代表する麺料理として知られる「担仔麺」は、豚骨と鰹節、エビの頭の煮汁を使ったスープが特徴的。薄味ながら、しっかりとした出汁の風味が感じられ、ニラや小エビ、豚のひき肉や揚げたニンニクがトッピングされています。台南にある飲食店「度小月」が発祥ですが、担仔麺は台湾全土で食べることができます。後味が重くなく、量も多すぎないので、他の料理と組み合わせて食べたい一品です。
家庭料理の定番と言えば「魯肉飯」
煮込んだ豚肉を白米にぶっかけた「魯肉飯」は屋台やチェーン店でも食べられる台湾の定番料理。豚のひき肉を醤油、砂糖、八角などで長時間煮込み、ごはんと一緒に頬張ります。缶詰やレトルトも多く出回るほど、家庭料理としても定着しており、店や商品によって味に大きな違いがあることも特徴です。味が濃く、好みは分かれますが、台湾を訪れると真っ先に食べる日本人も多く、料金は30元(約112円)程度とリーズナブル!ほとんどのお店で10元(約37円)の追加料金を払えば、大盛りにできます。
ヘルシー志向の人にも大人気の「豆花」
マンゴーのかき氷やタピオカミルクティーなど、台湾を代表するデザートの多くは冷たいデザート。もちろん、湯圓(白玉の中に胡麻やピーナツの餡を入れたスイーツ)や紅豆湯(台湾風ぜんざい)など、温かいデザートもありますが、なかでも一番人気はツルンとした口当たりの豆腐デザート「豆花」でしょう。豆腐が原料なのでヘルシーでカロリーも控えめ。ピーナッツや緑豆など種類豊富なトッピングが用意されていることも魅力的です。
※こちらの記事の日本円の表記は2017年9月のレートで参考として表記しています。為替相場によって現在の金額は変動している可能性がありますので、ご了承下さい。