治安は悪くないがスリに注意

ドイツの風景

ドイツの治安は他のヨーロッパの国と比べて悪くありません。むしろ、凶悪犯罪などの重大事件は少ない方と言えるでしょう。

しかし、スリや置き引きなどの軽犯罪は非常に多く、その大半がプロの国際犯罪集団によるものと言われています。このようなスリの集団は通常3~6人程度のグループに分かれて行動し、それぞれに役割があり、たとえば一人が時刻表や地図などの見方を尋ね、一人が見張り役として周囲を観察し、一人が実行犯として話している隙に財布などを盗みます。

このようなスリ集団は街中だけではなく、駅構内やデパート、スーパーのレジ、レストラン、ホテルなど人が多く集まる場所でターゲットを狙っています。場合によっては、複数の組のスリ集団がいる可能性もあるので、特に見知らぬ人から話しかけられた時や、ぶつかって来た時は共犯のスリがいると考え、警戒を怠らないようにしましょう。

また、通行中に、自転車やバイクなどを利用して、追い越しざまにハンドバッグをひったくる事例も報告されているので、財布や鍵などの貴重品は必ず肌身から離さず、ハンドバッグを利用する際は車道や自転車道の反対側に持つなど、防犯を意識した行動が求められます。

ドイツ国内の犯罪に関するデータ

まずは、グラフをご覧下さい。国連の統計局によるドイツ国内の犯罪データです。イメージを掴みやすくするために日本のデータも併記します。

殺人件数 暴行件数 誘拐件数 窃盗件数 強盗件数 性的暴行件数
ドイツ 2014 0.9 155.9 6.2  1624.0 56.4 58.3
日本 2014 0.3 21.0 0.2 356.2 2.4 6.8

※単位は10万人あたりの人数
データ参照元:国際連合世界統計年鑑 NR=報告・データなし

自宅が犯行現場にならないために!

誘拐事件を除いては、どの項目でもイギリスより犯罪発生率が低いドイツ。それでも、最も多い犯罪である窃盗に関しては日本の約4.6倍、次に多い暴行は日本の約7.4倍、性的暴行も日本の約8.6倍と高い犯罪率になっています。

なかでもドイツの日本大使館が強く注意を呼び掛けているのが、空き巣や押し入り強盗などの自宅で起きる犯罪です。これらの犯罪は窃盗や暴行に分類されますが、犯人と遭遇してしまうことにより、殺人事件などの凶悪事件に発展する可能性が高い極めて危険な犯罪で、日頃から施錠の徹底や自宅での防犯意識が必要不可欠とされています。

また、一時帰国の際に、郵便受けの手紙や新聞が差しこまれたままだと、長期不在だと悟られてしまい、被害に遭いやすくなってしまいます。知人に郵便受けのチェックをお願いするなど、可能な限りの方法で留守を悟られないようにしましょう。

なお、押し入り強盗も頻発しています。気分が悪いので薬を飲むために水をくれませんか?隣の部屋に荷物を持って来たのですが留守なので預かってもらえませんか?子供がトイレに行きたがっているので貸してくれませんか?など、言葉巧みにドアを開けさせるように促し、ドアを開けた途端に変貌することがあります。

不親切に感じてしまうかもしれませんが、知人以外の来訪者にはドアを開けないまま対応するか、ドアチェーンを施錠したまま対応するなど、簡単にドアを開けないことが重要です。

移民による犯罪とテロ

近年、ドイツでは移民が増えており、それに伴い移民による犯罪も起きています。しかし、決して移民が犯罪率を高めているとは言い切れず、たまたま罪を犯した人が移民だったケースも考えられます。近年発生した移民による犯罪は以下のものがあります。

2015年、ハンブルクやケルンなどの都市で女性に対する集団強盗および性的暴行事件が発生。女性からの被害届は500件を超え、大きな事件として扱われました。犯人はアラブ人や北アフリカ人を主体とした約1,000名で、そのほとんどが捕まっていません。

これを境に2016年にはミュンヘンのショッピングモールで10名が亡くなった銃の乱射事件、フライブルクでは難民申請中の男性による強姦殺人事件、2017年にはハンブルクのスーパーマーケットで難民申請を却下された男性が刃物で殺人事件を起こし、コンスタンツでも難民としてドイツに居住している男性がナイトクラブで銃の発砲事件を起こしています。

同様にテロ事件も発生しています。2016年7月には観光名所として有名な「ロマンチック街道」の北の起点となるヴュルツブルクの列車内で、難民の男性が斧とナイフを持って次々と乗客に襲い掛かるテロが発生。その約1週間後にはアンスバッハで爆破事件が起き、クリスマスシーズンにはベルリンのクリスマスマーケットでトラックが突入し、12名が亡くなりました。

しかし、テロはドイツに限らず、いつ・どこで起きるのか予測できません。それは日本で暮らしていても同じこと。日常的なことでないため対策もできませんが、最低限の対策として、外務省の危険情報ページで最新情報の入手に努めましょう。

ドイツで事件に巻き込まれたら

ドイツの風景

ドイツに限らず、どこの国でも身の安全を第一に考えて行動することが鉄則です。例えば、ひったくりに遭った場合、奪われた金品を奪い返そうとするのではなく、自分の命を最優先に考え、安全な場所へ身を移すようにしましょう。奪われた物が返って来ることはありませんが、海外旅行保険などに加入していると、後に保険金を請求できることもあります。請求の際、多くの保険会社では現地の警察によって作成された証明書が必要になります。どのような書類が必要で、どのタイミングで申請を行うのか?保険に加入する時は細かいことまでチェックをしておきましょう。

ドイツ国内での主な緊急連絡先一覧

ドイツ国内での主な緊急連絡先を記載します。都市によって電話番号や連絡先の大使館・領事館が異なる場合があるので、住むエリアが決まったら必ず緊急連絡先を確認し、何かあった際に直ちに連絡できるよう、メモなどを残しておきましょう。

◆警察 110
◆救急車 112
◆消防 112
◆在ドイツ日本国大使館 領事部直通 030-210-94-158
◆在デュッセルドルフ総領事館 0211-1648-20
◆在ハンブルク総領事館 040-3330-170
◆在フランクフルト総領事館 069-2385-730
◆在ミュンヘン総領事館 089-417-6040

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