付加価値税の税率は19%と7%
ドイツの税金について紹介します。ここでは企業が納める法人税などは除き、あくまで個人が生活するうえで納める義務のある税金を中心に記載します。
日本の消費税にあたる税金として、ドイツには付加価値税があります。付加価値税の税率は2パターンに分かれており、該当する品目やサービスによって異なる税率になっていますが、ほとんどの商品やサービスは標準税率に分類され、19%の付加価値税が課せられます。
食料品や書籍などは原則として軽減税率に該当し、税率は7%ですが、食料品でも酒類や飲食店での食事は標準税率が適用されます。ただし、飲食店でテイクアウトをした場合は、軽減税率になります。また、輸入品に対しては輸入売上税が課せられ、こちらも消費者に転嫁されます。税率が異なるため、消費者は混乱しそうですが、一般的にスーパーなどは全て内税で表示されているため、あまり意識しないのが現状です。
なお、不動産取引、不動産賃貸、金融、保険、医療、教育、郵便などは非課税の対象になるため、付加価値税は課せられません。
所得税率は累進課税
年間で6ヶ月以上、ドイツに居住する場合は給与・利子・配当所得など、全ての所得に対して所得税が課せられます。これは国外での所得も対象になるので注意しましょう。
ドイツでの滞在が6ヶ月未満もしくは、ドイツでの就労・雇用期間が183日未満の場合は、ドイツ国内で得た所得と資産所得のみが課税対象となります。これは日本とドイツの二国間租税条約の規定によるもので、日本国籍以外の方はドイツと該当国との租税条約の内容によって異なる可能性があります。
なお、所得税は累進課税で15~42%、最大税率は45%と定められており、課税対象額は単身世帯か?夫婦世帯か?によって異なります。例えば、最低課税対象年収は単身世帯が8,652ユーロ(約114万円)、夫婦世帯は17,304ユーロ(約227万円)で、夫婦世帯に比べて単身世帯の方が、低い年収でも課税の対象になります。また、最大税率となる45%が課される年収は、単身世帯が254,447ユーロ(約3,342万円)、夫婦世帯は508,894ユーロ(約6,683万円)です。
このように夫婦世帯は単身世帯に比べて所得税が優遇されていますが、ドイツでは所得税の他に、連帯付加税(東西ドイツ統一にあたり旧東ドイツ支援を目的として創設された税金)があり、個人所得に対して5.5%課せられます。
その他の税
上記で述べた<連帯付加価値税>は個人の所得だけではなく、法人やパートナーシップ形態の会社に対しても課せられます。また、法人税や連帯付加税に加えて地方税として<営業税>も課せられており、ドイツ国内で事業を営む場合は所得に対して課税されます。ただし、医師や弁護士、芸術家など自由業者に該当する場合は対象外で、3.5%の共通課税基準率に、各都市が毎年設定する賦課率が上乗せされ、この賦課率は都市によって数字が異なり都市部ほど大きくなります。
事業などを行わない限り、営業税は法人税と同様に、あまり身近に感じない税でしょう。
※こちらの記事の税制は2017年9月時点の制度です。変更している可能性もありますので、ご了承下さい。なお、日本円の表記は2017年8月のレートで参考として表記しています。為替相場によって現在の金額は変動している可能性がありますので、ご了承下さい