ビザなし入国は90日以内

スペインの風景

スペインを含むシェンゲン協定加盟国では現在のところ、観光を目的とする入国では特別なビザを必要としておらず、滞在制限が共通化されています。また、加盟国内の滞在は180日の期間内で90日間が限度となっています。よって、例えばスペインを含むシェンゲン協定加盟国内で85日が経過したからと言って、日本へ一時帰国し、再入国を行う場合、最大5日間の滞在しか認められず、新たに90日の滞在が与えられるわけではありません。注意すべき点としては、スペインのビザ規定は変更が多く、さらに変更に関する予告も行っていないため、常に最新情報を大使館などで確認する必要があります。

なお、シェンゲン協定加盟国とは以下の26ヶ国を指します。

オーストリア・ベルギー・チェコ・デンマーク・エストニア・フィンランド・フランス・ドイツ・ギリシャ・ハンガリー・アイスランド・イタリア・ラトビア・リヒテンシュタイン・リトアニア・ルクセンブルグ・マルタ・オランダ・ノルウェー・ポーランド・ポルトガル・スロバキア・スロベニア・スペイン・スウェーデン・スイス。

なお、ヨーロッパでもアメリカのESTAやカナダのETA、オーストラリアのETASのようなシステムETIAS(European Travel Information and Authorisation System)が導入されることが決まっています。導入時期は未定ですが、テロ防止強化策のため、数年以内の開始が予定されています。ETIASが始まると、シェンゲン協定加盟国へ渡航する際に、事前にパスポート番号や犯罪歴などを登録してから行くことになります。開始が決まったら、日本でも大々的に報道されると思いますので、詳細を確認してから渡航するように注意しましょう。

ロングステイ向きのビザは?

スペインはロングステイ向けのビザの種類が少なく、東南アジアへ移住するよりもビザでのハードルは高いと言えるでしょう。

しかし、一定の金額以上の年金受給者や学生向けのビザなど、比較的取得しやすいビザもあります。なお、長期滞在用のビザは種類にもよりますが、審査結果が出るまでに2~3ヶ月ほど時間が掛かることもあります。直前の申請では出発までにビザが発給されないことも考えられるので、余裕を持ったスケジュールを意識しましょう。

リタイアメントビザ

スペイン大使館のサイトでも、このリタイアメントビザについては非公開にされており、さらにビザの発給条件は頻繁に変わるので、大使館に問い合わせをしないと最新情報は分からない仕組みになっています。現在(2017年7月)は、年間1万ドル(約111万円)以上の年金収入が条件とされており、夫婦など同居の家族も同行する場合は、1人につき1,700ドル(約19万円)が上乗せされます。

その他、スペイン国内に住む場所があることも申請条件に含まれており、滞在期間はスペイン入国後に、居住許可書を提出する現地の警察署の判断に委ねられます。無犯罪証明書や健康診断書、外務省の認証を受けた年金受給証明書、海外医療保険の加入証書など用意するものが多いので、早めに大使館へ問い合わせを行いましょう。

学生ビザ①

学生ビザは2種類あります。まずは滞在日数が181日以上の長期学生ビザ。
必要書類や申請方法等は大使館の査証ページの「留学・研究査証長期」で確認することができます。

用意する書類が多く、銀行の残高証明は申請した日に取得できないので、早めに行動しなければなりません。また、学生ビザはスペイン外務省の許可が必要なので、時間に余裕を持った申請が推奨されています。目安としては出発予定日の約2ヶ月前。3ヶ月以上前など、早過ぎる時期の申請は受け付けてもらえないこともあります。

学生ビザ②

滞在日数が91日~180日の方は短期学生ビザを申請します。
必要書類や申請方法等は大使館の査証ページの「留学・研究査証短期」で確認することができます。

長期の学生ビザよりも必要書類は少なく、健康診断を受ける必要もありません。しかし、長期同様、スペインでは学生ビザの発行に外務省の許可が必要なので、出発予定日の2ヶ月前には申請できるようにしておきましょう。なお、現地でビザの延長はできません。また、滞在可能日数の最大は180日までですが、ビザは学校の就学期間に合わせて滞在日数が決定されるので、必ずしも180日間の滞在が認められるとは限りません。

就労ビザ

スペインのビザ申請書

就労ビザはスペインで雇用が決まっており、かつ雇用主がビザ取得のサポートをする必要があります。

必要書類や申請方法等は大使館の査証ページの「就労査証」で確認することができます。

申請には、スペイン地方労働当局へ申請済みの労働・居住許可決定通知書の原本も必要です。通知書のコピーやE-mailでは受け付けてもらえないので注意しましょう。また、追加書類の提出や領事面会をお願いされることもあります。

現状としては、スペインでは失業率が高く国全体として就職難が社会問題になっているため、就労ビザの取得は非常に難しいと言われています。不法就労が行われているケースもありますが、「周りの外国人(日本人)も働いていたから」「雇用主が、この程度の時間なら大丈夫だと言っている」「ルールを把握していなかった」など、いかなる理由でも発覚した場合は罰金ならびに強制退去となる恐れがあるため、国際ルールを必ず遵守しましょう。

その他の長期向けビザ

他には、「起業家・投資家ビザ」や「ビジネス・文化活動ビザ」「ワーキングホリデービザ」があります。

「起業家・投資家ビザ」はスペイン大使館のホームページには掲載されておらず、大使館などへの問い合わせが必要です。主に、スペインでの起業あるいは不動産投資などを行い、スペイン経済の向上に貢献すると認められた方に発給されるビザで、滞在可能期間は初回だけ1年間、以降は2年ごとの更新制になっています。

申請者1人につき50万ユーロ(約6,541万円)以上の不動産投資やスペインの金融機関へ100万ユーロ(約1億3,083円)以上の預金などが申請の目安とされており、充分な資金が必要となります。

ビザに関する注意

ビザのルールは頻繁に変わります。同様に入国に関するルールも予告なく変わることもあるので、渡航をお考えの方は必ず直前に大使館から最新情報を取得するようにして下さい。また、ビザは申請から発給まで時間を費やすことがあります。さらに、ビザに必要な書類を揃えるだけでも、想定以上の時間を要することが多いため、スケジュールはなるべく前倒し気味に進めることを意識しましょう。

※こちらの記事の日本円の表記は2017年8月のレートで参考として表記しています。為替相場によって現在の金額は変動している可能性がありますので、ご了承下さい。

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