【カナダ移住体験談】バスの中から見た街の魅力

引っ越しとバス
約20年前にカナダへ移住してからというもの、私の移動手段はもっぱら車でした。広いカナダでは、車がないと不便な場面も多く、車での生活が当たり前になっていました。
そんな中、私事ですが、引っ越しをしまして、ダウンタウンの近くで暮らし始めました。新しい家は、公共交通機関を使った方が便利な場所なので、久しぶりにバスを利用してみました。
19年ぶりのバス
バスに乗るのは、本当に久しぶりです。
よくよく考えてみたら、なんと19年ぶり!!
カナダに来たばかりのワーキングホリデー時代には、毎日のようにバスを利用していましたが、その後は車中心の生活になり、すっかりバスに乗る機会がなくなっていたのです。
普段、車を運転していると、どうしても視線は道路や標識、周囲の交通状況に集中してしまいます。
特に時間に追われている時などは「早く到着しなきゃ」という気持ちが強くなり、景色を楽しむ余裕なんてありません。目的地に着くことだけが頭の中にあって、窓の外の景色はほとんど目に入っていないことに、改めて気づきました。
バスに乗ると、運転はすべて運転手さんにお任せで、自分はただ座って、窓の外を眺めるだけ。
この違いが、思っていた以上に新鮮でした。
バスの中から気づいた魅力
バスの窓から見える街並みは、車を運転している時とはまったく違う表情を見せてくれました。
道沿いのお店やカフェ、並木道、歩いている人たち、何気ない住宅街の風景。今まで気にも留めなかった小さな変化や、季節の移り変わりにふと気づいたりして、なんだか心が温かくなりました。
バスの中でぼんやり外を眺めていると、ワーキングホリデー時代のことを思い出しました。
当時はバスに揺られながら、カナダの街を見ることが大好きでした。知らない街で降りてみたり、気になるカフェに立ち寄ったり、バス移動そのものが冒険のようで、とてもワクワクしていたのを覚えています。
今はカナダでの生活に慣れて、目的地に向かうことだけが移動の目的になっていましたが、久しぶりにバスを利用したことで、また違った視点で街を楽しむことができました。
バス移動は、車に比べると時間が掛かります。
それでも、移動の時間そのものを楽しめるというのは、バスならではの魅力だと感じました。
「急がなくてもいい」「ただ景色を眺めるだけでもいい」
そんな感覚は、忙しい毎日の中で完全に忘れていたものだったのかもしれません。
バスのシステムと変化
驚いたことがもうひとつありました。
それは、バスのシステムが大きく進化していたことです。
私がよくバスに乗っていた頃は、バスの中に停留所の名前が表示されることはありませんでした。
そのため、乗っている間は常に窓の外をチェックして、目印になる建物を探しながら、「そろそろかな?」とタイミングを見計らっていました。
降りる時は、座席の上にあるロープを引っ張ってベルを鳴らし、運転手さんに合図を送る仕組みでした。
しかし、今ではバスの中に電子表示板が設置されていて、次に停まるバス停の名前がしっかり表示されるようになっていました。
しかも、バスが動くたびに「Next Stop: ◯◯ Street」とアナウンスも流れるので、ハラハラすることなく、安心して乗っていられます。この進化には、本当に感動しました。
バスパスの仕組みも変わっていました。
以前は、小さな紙のパスを運転手さんに見せるスタイルでしたが、今ではスマートフォンをかざすだけで乗車できるシステムに。
紙のパスを無くさないように気をつけていた頃を思い出して、時代の流れを感じずにはいられませんでした。
久しぶりにバスに乗ったことで、ただ移動するだけではない「道中を楽しむ」という感覚を思い出すことができました。
車の運転も便利ですが、たまにはバスに揺られながら、のんびりと街を眺める時間もいいものです。
また機会を見つけて、バスでちょっとしたお出かけを楽しみたいと思います。