【カナダ移住体験談】カナダの12月はどこか不思議

カナダの12月

カナダに移住してから迎える12月は、日本で過ごしていた年末とはかなり違った感覚があります。

街並みだけを見ると、12月はクリスマス一色です。住宅街では家々がライトアップされ、庭や玄関先にはイルミネーションやサンタクロースの飾りが並んでいます。

夜になると通り全体がやわらかな光に包まれ、歩いているだけで冬らしい雰囲気を感じます。

しかし、不思議なことに今年はクリスマスの実感があまり湧いてきません。その理由の一つが、ラジオから流れてくる音楽です。

例年ならこの時期は、どの局をつけてもクリスマスソングが流れていますが、今年は通常の音楽が多く、街の景色と耳から入る情報にズレを感じます。

それだけではなく、今年は気候も少し違います。

やけに暖かい今年の冬

今年の12月は、天候の面でも例年とは大きく違います。

かなりの暖冬で、雪がほとんど積もっていません。そのため、今年は「グリーンクリスマス」と呼ばれています。

芝生はまだ緑色で、冬のカナダで想像される白い雪景色とは程遠い状態です。

少し前には台風のような強い風と雨もあり、これが本当に12月なのか?と疑いたくなるほどでした。

通常、私が住んでいるBC州の冬は風がほとんどなく(地域によって異なります)、気温が一気に下がり、静かに雪が降る印象があります。気温としては冷え込むものの、空気は澄んでいて、どこか落ち着いた雰囲気です。

しかし今年は、プラスの気温が続き、雨が降り、風が吹く日が多く、なんとなく冬らしさを感じません。過ごしやすい一方で、季節のリズムがずれているようで、しっくりこない奇妙な感覚があります。

カナダも師走

12月に入ると、街の人の動きも一気に活発になります。

外に出ている人が増え、普段はスムーズに流れる道路でも渋滞が目立つようになります。

特にショッピングモールは混雑していて、建物に入る前に駐車場を探すだけで時間がかかります。店内も買い物袋を抱えた人たちが行き交い、常に人でいっぱいです。

普段は比較的マイペースなカナダでも、この時期は予定を詰め込んで行動している人が多く、なんとなく急いでいる雰囲気があります。

その影響もあって、街全体に少しピリピリした空気、いわゆる「いらいらモード」が漂っているように感じます。

忙しさが重なる12月は、人の余裕も少しずつ削られていくのかもしれません。

12月になると耳にするフレーズ

忙しさがピークを迎えるこの季節は、生活のスタイルにも変化が出てきます。

時間が足りず、夕食を作らずに外食で済ませたり、デリバリーに頼ることが増える月です。自炊よりも手軽さが優先され、食事も簡単に済ませることが多くなります。

12月になると、カナダでよく耳にするフレーズがあります。

それは「I will fix it in January」です。

今は忙しくて余裕がなく欲にも対抗できないから、年が明けてから気持ちを改めて整えよう、という意味です。

12月は無理に我慢をせず、やりたいことをやり、楽しみたいものを楽しむ・・・その代わり、1月になったら立て直す、という考え方がごく自然に受け入れられています。

まとめ

そうした考え方もあって、12月はお財布の紐が緩みやすい季節でもあります。

ギフトや外食、セールやちょっとしたご褒美などが重なり、「今だけだから」と自分に言い聞かせながら出費が増えてしまいます。

夕食を外食やデリバリーに頼ることも多い季節なので、なおさらです。

しかし、完璧に管理された生活よりも、その時々の楽しさを大切にする姿勢は、移住してから私が学んだ新しい価値観の一つです。

今年の12月は、暖冬で雪がなく、天候も落ち着かず、どこかクリスマス感が控えめで、いつもとは違う印象を受けますが、それでも、この忙しさや中途半端さ、不完全さも含めて、カナダの12月なのだと思います。

2026年まであと数日。

今年もまた、この国らしいペースのまま、年末へと向かっていく空気をひそかに感じています。

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