【カナダのニュース】カナダ先住民児童の遺体発見
カナダの歴史
カナダには、その昔「先住民」(インディアンやイヌイット)と呼ばれる人々が住んでいました。
しかし、1763年にイギリスに包括され、その後、フランスにも包括され、イギリスとフランスの植民地となりました。カナダの土地がイギリスとフランスの植民地だった頃は、東海岸の一部がアメリカの植民地になったこともあります。
カナダが事実上の独立国家となったのは、1931年です。
カナダ先住民の言い伝えによると、時の始まりから彼らはこの土地に住んでおり、考古学的研究によると26,500年前からユーコン周辺に、オンタリオの南部には9,500年前から人類がいたとされています。
現在でも、カナダにはインディアンやイヌイットと呼ばれる原住民が暮らしており、そもそもこの土地は原住民の土地であったため、現在は原住民に該当する人は一部の税金が免除されたり、新型コロナウイルスのワクチン接種も優先して受けることができるなど、ある種の優遇を受けています。
しかし、他国から包括されていた時代には、このような優遇はなく、醜い歴史も残っていることが明らかにされています。
カムループスで215人の児童の遺体発見
2021年5月29日、ブリティッシュ・コロンビア州のカムループスにある寄宿学校跡地で、215人の児童の遺体が発見されたと報道がありました。
これらの児童の遺体は、1970年代まで続いていた同化政策による犠牲者であるとされています。
現在も調査が進められており、遺体の数は今後増える可能性があるとされています。
同化政策時代には、カナダ原住民、4歳から12歳までの子供たちは原住民の文化を継承させないために家蔵から引き離され、寄宿学校で生活していました。
原住民族に対する差別はもちろんのこと、寄宿学校で生活する子供たちに対する身体的、精神的虐待があったことが認められており、なかには性的虐待もあったことが明らかになっています。
また、寄宿舎ではキリスト教の教えが強制されており、母国語を話すことすら許されていなかったと言います。報告書によると、当時の虐待で約6,000人の原住民の子供たちが亡くなったとされています。
この子供達の遺体は地中レーダーで発見されており、なかには3歳程度の小さな子供の遺体もあったようです。
先住民者によると、当時の虐待のトラウマが、その後のアルコール依存、ドラッグ依存が蔓延する原因になったとも言われています。この歴史は、ジェノサイド(民族大量虐殺)だったとの批判もされています。
現在のカナダ政府の対応
カナダ政府は2008年に、当時の虐待の事実を認め、連邦議会で正式に謝罪しています。
現在の首相であるトルドー氏は「わが国の歴史の暗く恥ずかしい一面を思い出させる」と述べ、追悼の意思を示しています。
また、トルドー首相は「我が国で人種差別は許さない」と明言しているように、カナダでは多国籍が認められ、多くの人種が平等に生活しており、他国で起きがちな人種差別もほとんどありません。
カナダで人種差別が少ない理由として、多くの人種が移民していることもありますが、やはり原住民に対する差別をなくすための動きによる影響も考えられます。
今回、カナダ統括時代に犠牲となった児童の遺体が発見されたことにより、フェイスブックなどでも”Every Child is matter”などのロゴやフレーズが掲げられています。
一部の地域では、5月31日に統括時代に犠牲となった子供達のことを追悼する意味を込めて、オレンジ色の服を着る動きも見られました。
※なお、このニュースは日本でもBBC NEWS Japanなどで取り上げられています。
BBC NEWへのリンク:カナダの先住民寄宿学校跡で215人の遺体発見 支援団体は「全国的な捜索」要求