【カナダ移住体験談】久しぶりの凍結

久しぶりの凍結

3~4日ほど前でしょうか。久しぶりに、地面が凍りました。

今年も昨年に引き続き暖冬で、マイナスの気温になる日は数えるほどしかありません。ここ数日も天気予報を見ると、気温は(ギリギリですが)プラスを保っていました。

しかし数日前、強く吹いていた北風がとても冷たく、空気の冷え方がいつもと違うように感じていました。翌朝、外へ出てみると、私の予感は当たっていて、地面がうっすらと凍っていました。

犬の散歩で歩き出した瞬間、足元がツルッと滑り、思わず体に力が入りました。犬も同じように足を取られ、少し慌てた様子で踏ん張っていて、その姿を見て、ようやくカナダの冬を実感しました。

カナダの冬

私がカナダに移住して20年近くが経ちますが、昨年と今年は特に暖冬です。

12月は大抵1年の中で最も寒い季節で、寒い年にはこの時期にマイナス20度になったこともありました。しかし、今年はプラスの気温が続いており、太陽が出ることもあります。

このエリアで冬に降るとしたら雪だったのですが、今年は雨も降っています。雪が降っても長く積もり続けることは少なく、思っていたよりも穏やかな冬だと感じることが増えました。

だからこそ、久しぶりに地面が凍ったる朝は、季節の切り替わりを強く意識させられました。

風で変わる体感温度

今年の冬で印象的なのは、気温の低さよりも、空気や風の冷たさです。

通常は、気温が下がっても風が吹かないので体感温度がそれほど低くありませんが、今年は少し異なります。気温だけを見ると日本の冬とそれほど変わらない数字でも、風が吹くと体感温度が一気に下がります。

特に北風の日は、顔に当たる空気が鋭く、頬や耳がすぐに冷えていきます。そんな日は手袋をしていても指先が冷たくなり、息を吸い込むたびに胸の奥まで冷たい空気が入ってきます。

日本の寒さとはまた違い、乾いた冷気が体に直接触れてくるような感覚があります。

ブラックアイスに要注意!

カナダの冬の生活で気をつけなければならないのが、足元の安全です。

雪が積もっていなくても、昼間に溶けた雪や水分が夜の間に凍り、朝にはブラックアイスと呼ばれる見えにくい氷になります。

見た目は普通の地面と変わらないため、油断していると簡単に滑ってしまいます。

私も、凍っていると分かっていながら、いつもの感覚で歩いてしまい、危うく転びそうになったことが何回もあります。

犬も滑る朝

私は犬を飼っているのですが、犬もまた、凍った地面に慣れていない様子でした。

歩き出してすぐに足を滑らせていましたが、いつもより慎重に歩く、と言うことはなく、滑りながらも懲りることなくいつものスピードで歩いてました。

ただ、歩幅をいくらか小さくして、地面を確かめるように一歩一歩進む姿を見ていると、人間と同じだな、と思って笑ってしまいました。

カナダの冬では、無理をしないこと、急がないことが大切です。

時間に余裕を持ち、転ばないように歩く。それだけでも、冬のストレスは大きく減ります。

季節に馴染む生活

こうしてカナダの冬を何度か経験するうちに、寒さそのものよりも、季節との付き合い方が重要だと感じるようになりました。

完璧に備えようとすると大変ですが、その日の天候に合わせて服装や行動を少し調整するだけで、冬はずっと過ごしやすくなります。

凍った地面、冷たい風、短い日照時間。どれも最初は戸惑いましたが、少しずつ受け入れていくことで、冬ならではの静けさや美しさにも気づけるようになります。

のんびりした国

特に朝の時間は、冬のカナダらしさを強く感じます。

人通りの少ない道、白く冷えた空気、足音だけが響く静けさ。日本(それも私は東京生まれ東京育ち)で感じていた年末の慌ただしさとは少し違い、時間がゆっくり流れているように思える瞬間があります。

凍った地面に気をつけながら歩くことで、自然と足取りもゆっくりになり、自分の呼吸や周囲の景色に意識が向きます。カナダの冬は、不便さと引き換えに、立ち止まる時間を与えてくれる季節なのかもしれません。

久しぶりに凍った地面を踏みしめながら歩いた時、今年の冬もようやく始まったのだと感じました。

暖冬とはいえ、確実に季節は冬になっています。無理をせず、焦らず、足元を確かめながら過ごしていこうと思います。

frozen city