【カナダ移住体験談】日本とは違うメンタルヘルスケア事情

日本と違うメンタルヘルスケア事情

少し前に、友人のサポートで、カナダのメンタルヘルスケアについて知る機会がありました。

私がカナダで暮らし始めてからずいぶん経ちますが、メンタルヘルスのサポートについて深く考えたことはありませんでした。

今から約20年も前なので、もう違うかもしれませんが、私が日本で暮らしていた頃は、メンタルヘルスについて話すこと自体、少しハードルが高いように感じていました。実際に、理解が得られないケースも見聞きしました。

カナダでは、メンタルヘルスケアについて周囲の人と気軽に話せる雰囲気があり、制度としてもサポートが整っています。

そこで今回は、カナダのメンタルヘルスケアについて書いていきたいと思います。

カナダのMSP制度とは?何が無料で、何が有料なの?

カナダの医療制度は州ごとに異なりますが、私が住んでいるブリティッシュ・コロンビア州(BC州)では、MSP(Medical Services Plan) という医療保険制度があります。

MSPに加入すると、病院での診察や緊急時の治療、手術などは基本的に無料で受けられます。

ただし、すべての医療が無料なのではなく、歯科治療や眼科、薬代、そしてメンタルヘルスに関するカウンセリングや心理療法などは適用外です。

よって、MSPに加入していれば、風邪をひいて病院に行くのも、レントゲンを撮るのも、救急車を呼ぶのも無料ですが、メンタルヘルスの治療は別。カウンセリングや心理療法は自己負担になります。

これは、日本とは大きく異なる点だと感じました。

メンタルヘルスケアは基本的に有料

カナダではメンタルヘルスの治療は、原則として自己負担です。

日本では、心療内科や精神科の診療も保険の適用になりますが、カナダでは適用外。心理カウンセリングやセラピーを受ける場合、1回あたり150〜200ドル(約15,000〜20,000円) ほどかかるのが一般的です。

※職場が提供している健康保険に加入している場合、医療保険のパッケージによっては、メンタルヘルスケアが含まれていることもあります。

その場合、年間で数回分のカウンセリング費用が補助されるなど、保険によって内容は様々です。私の友人も、職場の保険でカウンセリングを何回か受けられると言っていました。

このように福利厚生が充実している企業に勤めていれば、メンタルヘルスケアの負担も少なくなります。

緊急時には無料でメンタルヘルスケアが受けられる

では、経済的に余裕がない人や、急に精神的な危機に陥った人はどうすればいいのでしょうか?

カナダには、緊急時に対応する無料のメンタルヘルスサポートがあります。

例えば、命に関わるような深刻な精神状態になった場合、病院の緊急窓口(ER)に行けば、無料で診察を受けることができます。 ただし、こうしたケースでは、専門の心理カウンセラーではなく、メンタルヘルスを専攻している学生が対応することもあります。

また、緊急ホットラインも充実しており、24時間対応の電話相談 があります。

例えば、「Crisis Centre」という団体では、無料で相談ができる電話窓口を提供しています。これらの制度を知っているだけでも、いざというときに安心できると感じました。

生活費をカバーするための補助金も

カナダには、メンタルヘルスの問題で働けなくなった人を支援する制度があります。

たとえば、障害者支援プログラム(Disability Assistance) に申請すると、収入がない人でも最低限の生活費を補助してもらうことができます。

また、仕事をしていても精神的な問題で一時的に働けなくなった場合、EI(雇用保険) を申請することで一定期間の収入を得ることができます。

日本でも傷病手当金の制度がありますが、カナダの方が柔軟に利用できる印象を受けました。

命を守るための制度がカナダにはある

今回、友人のサポートを通じて、カナダのメンタルヘルスケアについて改めて考える機会を得ました。普段は意識しませんが、いざというときに頼れる制度があるというのは、とても心強いことです。

メンタルヘルスケアは基本的に自己負担ですが、職場の保険を利用する、無料のサポートを活用する、緊急時には病院で対応してもらう など、いくつかの選択肢があります。

「メンタルヘルスも大切な健康の一部」

カナダでは、このような考えが広がっており、支援の仕組みも整えられています。

留学や仕事で、初めてカナダで暮らしている方は、日本との違いに戸惑うこともあるかもしれませんが、情報さえ持っていれば、必要なサポートを受けることができます。

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